申請中の特許 Patent pending 【出願番号】 特願2006-203289(P2006-203289)

【発明の名称】 塗布ノズル及び塗布装置

【発明者】 【氏名】荒牧 昭二

【要約】 【課題】塗布口の開口幅を高精度に、かつ、効率よく調整することのできる塗布ノズル及び塗布装置の提供を目的とする。

【構成】塗布ノズル1は、正面側ノズル部材2、背面側ノズル部材3、及び、塗布口12の開口幅を調整する調整手段4を備えており、調整手段4が、溝24に収納された一対の勾配キー41,42及び偏心ショルダーピン43,44を有する構成としてある。

【特許請求の範囲】

【請求項1】
対向して接合されるノズル部材と、前記ノズル部材の接合面に形成された塗布流路と、前記ノズル部材の先端部に形成され、前記塗布流路と連通する塗布口を有する塗布ノズルであって、
前記ノズル部材に形成され、かつ、溝側面が押圧されると、前記ノズル部材の弾性変形により、前記塗布口の開口幅を縮小させるための溝と、
被押圧面、前記溝側面を押圧する押圧面及びテーパ面を有し、前記テーパ面どうしが当接した状態で、前記溝に収納される一対の勾配キーと、
前記一対の勾配キーの各被押圧面を押圧する押圧手段と
を備えたことを特徴とする塗布ノズル。
【請求項2】
前記押圧手段として、固定用のボルト孔が穿設された回転軸部と、この回転軸部の一方の端部に一体的に設けられ、回転中心に対して偏心した円筒部とからなる偏心部材を用い、前記円筒部の側面が、前記勾配キーの被押圧面を押圧することを特徴とする請求項1に記載の塗布ノズル。
【請求項3】
前記一対の勾配キーにそれぞれ対応する偏心部材の偏心量を異ならせたことを特徴とする請求項2に記載の塗布ノズル。
【請求項4】
前記一対の勾配キー及び押圧手段を複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の塗布ノズル。
【請求項5】
前記ノズル部材を、下面の先端部に前記塗布口を有する四角棒状体とし、該四角棒状体の下面の前記塗布流路側に、前記溝を前記四角棒状体の長手方向に形成したことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の塗布ノズル。
【請求項6】
上記請求項1~5のいずれかに記載の塗布ノズルを備えたことを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布ノズル及び塗布装置に関し、特に、塗布口の開口幅を高精度に、かつ、効率よく調整することのできる塗布ノズル及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LCD(液晶表示装置)やプラズマ表示パネル装置(PDP)などのパネル型表示装置は、表示性能、省エネルギー等の理由から広く利用されている。
上記表示装置は、その製造工程において、ガラス基板にカラーレジストが塗布されており、塗布厚が均一となるように塗布することが要求されてきた。この要求を満足するために、対向して接合されるノズル部材と、ノズル部材の接合面に形成された塗布流路と、ノズル部材の先端部に形成され、塗布流路と連通する塗布口を有する塗布ノズルが使用されてきた。
【0003】
近年、パネル型表示装置の大型化により、長い塗布ノズルが使用されるようになってきた。また、塗布ノズルが長くなるほど、塗布厚を均一とすることは難しくなるが、画像品質の向上を目的として、塗布厚をより均一とすることが、さらに強く要求されている。
このため、塗布ノズル及び塗布装置に関する様々な技術が開発されてきた。
【0004】
(従来例)
たとえば、特許文献1には、ヘッド部材に長手方向に延びた凹部が形成され、この凹部に、塗布口の開口幅を調整するためのクサビ部材を用いた調整ユニットが設けられ、さらに、この調整ユニットを、凹部の任意の位置へ移動させ、その位置に固定することの可能な塗布工具の技術が開示されている。
この技術によれば、調整ユニットを所望する位置に移動させることができるので、塗布液が流通する塗布流路幅を容易に調整することができる。
【0005】
【特許文献1】特許第3501159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された塗布工具は、ボルトによって移動されるクサビ部材を用いており、精度よく塗布口の開口幅を調整しようとすると、クサビ部材のテーパ面の傾斜角度を小さくする必要がある。一方、テーパ面の傾斜角度を小さくしすぎると、長い塗布口の中央部付近の開口幅を調整する際、大きな調整量を得るためには、ボルトを多数回締め回す必要があり、作業性が悪いといった問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、塗布口の開口幅を高精度に、かつ、効率よく調整することのできる塗布ノズル及び塗布装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の塗布ノズルは、対向して接合されるノズル部材と、前記ノズル部材の接合面に形成された塗布流路と、前記ノズル部材の先端部に形成され、前記塗布流路と連通する塗布口を有する塗布ノズルであって、前記ノズル部材に形成され、かつ、溝側面が押圧されると、前記ノズル部材の弾性変形により、前記塗布口の開口幅を縮小させるための溝と、被押圧面、前記溝側面を押圧する押圧面及びテーパ面を有し、前記テーパ面どうしが当接した状態で、前記溝に収納される一対の勾配キーと、前記一対の勾配キーの各被押圧面を押圧する押圧手段とを備えた構成としてある。
このようにすると、溝に収納された一対の勾配キー及び各押圧手段が、塗布口の開口幅を調整する開口幅調整手段として機能し、一対の勾配キーが溝の長手方向に移動するので、開口幅の調整量を大きくすることができ、かつ、開口幅を高精度に調整することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記押圧手段として、固定用のボルト孔が穿設された回転軸部と、この回転軸部の一方の端部に一体的に設けられ、回転中心に対して偏心した円筒部とからなる偏心部材を用い、前記円筒部の側面が、前記勾配キーの被押圧面を押圧するとよい。
このようにすると、偏心部材を回転させ固定することにより、容易に勾配キーを押して移動させることができる。また、偏心部材の偏心量に応じて、勾配キーの移動距離が設定されるので、開口幅の調整量及び調整精度を自在に設定することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記一対の勾配キーにそれぞれ対応する偏心部材の偏心量を異ならせるとよい。
このようにすると、偏心量の大きい方の偏心部材を回転させることにより、開口幅を大きく調整することができ、さらに、偏心量の小さい方の偏心部材を回転させることにより、開口幅を高精度に調整することができる。また、小さい方の偏心量をさらに小さくすることにより、開口幅を超高精度に調整することも可能となる。
【0011】
また、好ましくは、前記一対の勾配キー及び押圧手段を複数箇所に設けるとよい。
このようにすると、塗布口が長い場合であっても、塗布口の全域において、開口幅を調整することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記ノズル部材を、下面の先端部に前記塗布口を有する四角棒状体とし、該四角棒状体の下面の前記塗布流路側に、前記溝を前記四角棒状体の長手方向に形成するとよい。
このようにすると、形状が単純化されるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0013】
また、本発明の塗布装置は、上記請求項1~5のいずれかに記載の塗布ノズルを備えた構成としてある。
このように、本発明は塗布装置としても有効であり、開口幅の調整量を大きくすることができ、かつ、開口幅を高精度に調整することができる。したがって、塗布口が長い場合であっても、塗布口の開口幅を高精度に、かつ、効率よく調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の塗布ノズル及び塗布装置によれば、溝に収納された一対の勾配キー及び各押圧手段が、塗布口の開口幅を調整する開口幅調整手段として機能し、一対の勾配キーが溝の長手方向に移動するので、開口幅の調整量を大きくすることができ、かつ、開口幅を高精度に調整することができる。また、塗布口が長い場合であっても、塗布口の開口幅を高精度に、かつ、効率よく調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[塗布ノズルの実施形態]
以下、本発明の塗布ノズルの実施形態について、図面を参照して説明する。

図1

図2

図3

図4

図5

図6

図7

図1は、本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの要部の概略図であり、(a)は正面図を、(b)は下面図を、(c)は右側面図を示している。
また、図2,3,4は、それぞれ本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの要部の概略正面図、概略下面図、概略右側面図の拡大図を示している。
図1,2,3,4において、塗布ノズル1は、正面側ノズル部材2、背面側ノズル部材3、及び、塗布口12の開口幅を調整する調整手段4を備えている。また、本実施形態の調整手段4は、溝24に収納された一対の勾配キー41,42及び偏心ショルダーピン43,44を有する構成としてある。
また、塗布ノズル1は、LCDなどのパネル型表示装置のガラス基板(図示せず)にカラーレジストを塗布する塗布ノズルとしてある。
【0016】
<ノズル部材>
ノズル部材は、ほぼ同様な構造を有する正面側ノズル部材2及び背面側ノズル部材3とからなっている。各ノズル部材2,3は、硬度及び機械的強度に優れた金属からなる四角棒状体としてあり、複数のボルト28によって、対向した状態で接合されている。
各ノズル部材2,3は、各接合面に長手方向に沿って、断面が半円状の液溜り22が形成されており、液溜り22のほぼ中央には、上方に向かって供給孔21が穿設されている。この供給孔21は、供給管11と連通しており、供給管11を経由して供給されるカラーレジストを液溜り22に供給する。また、各ノズル部材2,3は、液溜り22に対応する範囲の接合面に、接合面と平行に深さ約数十μmの塗布流路面23が形成されており、対向する塗布流路面23に挟まれた空間(スリットとも呼称される。)が塗布流路20となる。
【0017】
各ノズル部材2,3は、各下面の接合面側縁部に、長手方向に沿って対向するように、一対のほぼ三角柱状の先端部25が突設してある。この先端部25にも、塗布流路面23が形成されており、先端部25の最下端に塗布口12が形成される。すなわち、先端部25に、塗布流路20と連通する塗布口12が形成されている。これにより、液溜り22に供給されたカラーレジストが、塗布流路20を経由して、塗布口12から塗布される。なお、塗布口12が形成された範囲が、吐出範囲となる。
【0018】
各ノズル部材2,3は、下面の塗布流路側に、溝24が各ノズル部材2,3の長手方向に沿って形成してある。この溝24は断面が矩形状としてあり、対向する溝側面(内側溝側面及び外側溝側面)を有している。すなわち、溝24は、塗布流路側に形成してあるので、図4に示すように、距離W1(溝24の内側溝側面から塗布流路面23までの距離)が、距離W2(溝24の外側溝側面から塗各ノズル部材2,3の外側側面までの距離)より短くなっている。したがって、この溝24は、一対の勾配キー41,42による外力Xによって、両溝側面が押圧されると、各ノズル部材2,3の溝24の内側溝側面と塗布流路面23とに挟まれた部分が弾性変形し、塗布口12の開口幅を縮小させる。また、本実施形態では、各ノズル部材2,3及び溝24の形状が単純化されるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
また、溝24の底面の複数箇所に、偏心ショルダーピン43,44を取り付けるための嵌入穴26及び雌ねじ27が形成されている。なお、本実施形態では、35箇所に等間隔で嵌入穴26及び雌ねじ27を形成してある。
【0019】
<勾配キー>
図5は、本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの、勾配キーの概略拡大図であり、(a)は正面図を、(b)は平面図を示している。
同図において、勾配キー41,42は、硬度及び機械的強度に優れた金属製の鉤状部材としてあり、テーパ面411、被押圧面412及び押圧面413を有している。押圧面413は、溝24の溝側面と当接し溝側面を押圧する。また、被押圧面412は、押圧面413と直交する端面であり、押圧手段によって押圧される。さらに、テーパ面411は、押圧面413とほぼ対向するように形成され、被押圧面412に向かって登り勾配を有する斜面としてある。なお、テーパ面411の長さや勾配は、必要とする調整量や調整精度に応じて、自在に設定することができる。なお、勾配キー41と勾配キー42は、同様な構造としてある。
【0020】
勾配キー41,42は、テーパ面411どうしが当接した状態で、溝24に収納される。このようにすると、一対の勾配キー41,42の各押圧面413が溝24の対向する溝側面とそれぞれ当接し、被押圧面412が押されると、勾配キー41,42の一方又は両方が接近する方向に移動し、各押圧面413,413が溝側面に外力Xを作用させる。
なお、図示してないが、本実施形態では、勾配キー41,42が落下しないように、ほぼ矩形板状の落下防止板が各ノズル部材2,3の下面に螺着される。
【0021】
<偏心ショルダーピン>
偏心ショルダーピン43,44は、硬度及び機械的強度に優れた金属製の偏心部材であり、一対の勾配キー41,42の各被押圧面412を押圧する押圧手段としてある。この偏心ショルダーピン43,44は、固定用のボルト孔432が穿設された円筒状の嵌入部431と、嵌入部431の上端に形成され、嵌入部431の中心軸(回転中心)に対して偏心した円筒状の押圧部433とからなっている。また、押圧部433は、ボルト(六角穴付きボルト)45の頭部が収納される収納穴434が形成され、さらに上面には、対向して係止溝435が形成されている。この係止溝435は、断面が矩形状としてあり、図示してないが、角度調整治具の突起部が係入される。この角度調整治具は、下面に一対の突起部が設けられた円環部材と、この円環部材から水平方向に突き出たハンドルとを有している。角度調整治具を用いることにより、偏心ショルダーピン43,44を容易に所望する角度に回転させることができ、かつ、所望する角度に回転させた状態で、ボルト45を締め付けることができる。
【0022】
上記偏心ショルダーピン43,44は、回転軸部として機能する嵌入部431が、嵌入穴26に回転自在に嵌入され、角度調整治具によって角度調整された状態で、ボルト45が雌ねじ27に締め込まれることにより螺着される。
すなわち、ボルト45を緩めた状態で、角度調整治具を用いて、偏心ショルダーピン43,44を回転させると、偏心している押圧部433の側面が勾配キー41,42の被押圧面412を押圧し、押圧した状態のままボルト45によって固定される。このように、偏心ショルダーピン43,44を回転させると、偏心量に応じて勾配キー41,42を移動させることができ、塗布口12の開口幅を調整することができる。
【0023】
また、偏心ショルダーピン43,44の偏心量σによって、開口幅の調整量及び調整精度を自在に設定することができる。すなわち、開口幅の調整量が大きい場合には、偏心量σを大きくするとよく、また、開口幅の調整精度を高めたい場合には、偏心量σを小さくするとよい。
本実施形態の偏心ショルダーピン43と偏心ショルダーピン44は、同様な構造としてあり、同じ大きさの偏心量σ(=約2mm)を有している。
【0024】
ここで、好ましくは、一方の勾配キー41に対応する偏心ショルダーピン43の偏心量σを大きくし、他方の勾配キー42に対応する偏心ショルダーピン44の偏心量σを小さくするとよい。このようにすると、偏心量σの大きい偏心ショルダーピン43を回転させることにより、開口幅を大きく調整することができ、さらに、偏心量σの小さい偏心ショルダーピン44を回転させることにより、開口幅を微調整することができる。
【0025】
たとえば、図示してないが、偏心ショルダーピン43の偏心量σを約3mmとし、偏心ショルダーピン44の偏心量σを約0.2mmとしてもよい。このようにすると、偏心ショルダーピン43を角度調整として約180°回転させると、勾配キー41が最大約6mm移動し、大きな調整量を得ることができる。また、偏心ショルダーピン44を角度調整として約180°回転させると、勾配キー42が最大約0.4mm移動し、高精度の調整を行うことができる。
【0026】
また、本実施形態では、一対の勾配キー41,42及び偏心ショルダーピン43,44を、一つの溝24の11個所に配設してある。このように、複数箇所に配設することにより、塗布口12が長い場合であっても、塗布口12の全域において、開口幅を精度よく調整することができる。
また、本実施形態では、一対の勾配キー41,42及び偏心ショルダーピン43,44を、隣接するように配設してある。すなわち、n(自然数)番目の嵌入穴26に、偏心ショルダーピン43を取り付け、n+2番目の嵌入穴26に偏心ショルダーピン44を取り付け、さらに、n+3(自然数)番目の嵌入穴26に、偏心ショルダーピン43を取り付け、n+5番目の嵌入穴26に偏心ショルダーピン44を取り付ける構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、n(自然数)番目の嵌入穴26に、偏心ショルダーピン43を取り付け、n+2番目の嵌入穴26に偏心ショルダーピン44を取り付け、さらに、n+4(自然数)番目の嵌入穴26に、偏心ショルダーピン43を取り付け、n+6番目の嵌入穴26に偏心ショルダーピン44を取り付け、隣り合う調整手段4の間隔を大きくしてもよい。
【0027】
さらに、本実施形態では、一対の勾配キー41,42が、n(自然数)番目の嵌入穴26とn+2番目の嵌入穴26の間に収納される形状としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、n番目の嵌入穴26とn+3番目の嵌入穴26の間に収納される形状としてもよい。このようにすると、塗布口12の長手方向の各位置における調整量及び調整精度を自在に設定することができ、付加価値を向上させることができる。
【0028】
次に、上記塗布ノズル1を用いた、塗布口12の開口幅の調整手順について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの、塗布口の開口幅の調整手順を説明するための概略拡大図であり、(a)は調整前の下面図を、(b)は調整後の下面図を示している。
同図(a)において、塗布ノズル1は、調整前の状態であり、各偏心ショルダーピン43,44が、勾配キー41,42を押圧しない角度位置で(図6(a)の初期当接点が、被押圧面412と接触した状態で)固定されている。
【0029】
また、この塗布ノズル1は、長時間にわたりカラーレジストが供給され、塗布流路20を経由して、塗布口12からカラーレジストを塗布しており、塗布口12の開口幅が、距離H+ΔHに広がっている。
なお、使用前の塗布ノズル1は、各ノズル部材2,3の対向する塗布流路面23が距離Hとなるように、研磨加工が施されており、塗布口12の開口幅が距離Hである(図4参照)。
また、塗布ノズル1は、塗布口12の開口幅が広がると、カラーレジストの塗布量が局所的に厚くなるといった不具合が発生するので、定期的に塗布口12の開口幅が測定される。この測定には、通常、光学式顕微鏡などの測定装置が用いられる。
【0030】
次に、同図(b)に示すように、偏心ショルダーピン43のボルト45が緩められ、偏心ショルダーピン44を時計回り方向に回転させると、押圧部433が勾配キー41の被押圧面412を押圧し、勾配キー41がテーパ面411に沿って勾配キー42側に移動する。この移動によって、一対の勾配キー41,42に外力Xが発生し、押圧面413によって溝24の両溝側面が押圧されると、ノズル部材2の溝24の内側溝側面と塗布流路面23とに挟まれた部分が弾性変形し、塗布口12の開口幅を縮小させる。そして、偏心ショルダーピン43を所定の角度位置(たとえば、時計回り方向に約90°)まで回転させ、塗布口12の開口幅が、距離Hとなったところで、ボルト45によって固定する。このようにすると、効率よくミクロンオーダーでの微細な幅の調整を行うことができる。
なお、本実施形態では、塗布口12の長手方向における上記測定を、一対の勾配キー41,42の配設されたポイントで行い、各ポイントにおいて、塗布口12の開口幅を調整する。
【0031】
また、図示してないが、一方の勾配キー41に対応する偏心ショルダーピン43の偏心量σを大きくし、他方の勾配キー42に対応する偏心ショルダーピン44の偏心量σを小さくした場合には、上記測定結果より、塗布口12の開口幅の広がり量に応じて、偏心量σの異なる偏心ショルダーピン43,44が回転される。
すなわち、広がり量が大きい場合には、まず、偏心ショルダーピン43のボルト45が緩められ、角度調整治具を用いて、偏心ショルダーピン43を所定の角度位置まで回転させ、ボルト45によって固定する。これにより、大きな広がり量に対して、大きな調整をまず行うことができる。続いて、偏心ショルダーピン44のボルト45が緩められ、角度調整治具を用いて、偏心ショルダーピン44を所定の角度位置まで回転させ、微調整が行われた後、ボルト45によって固定する。このようにすると、偏心ショルダーピン43によって効率よく大きく調整し、さらに、偏心ショルダーピン44によって、たとえば、ミクロンオーダーでの微細な幅の調整を行うことができる。
一方、広がり量が小さい場合には、偏心ショルダーピン44のボルト45が緩められ、偏心ショルダーピン44が所定の角度位置まで回転させ、微調整が行われた後、ボルト45によって固定する。このようにすると、効率よくミクロンオーダーでの微細な幅の調整を行うことができる。
【0032】
このように、本実施形態の塗布ノズル1によれば、溝24に収納された一対の勾配キー41,42及び偏心ショルダーピン43,44が、塗布口12の開口幅を調整する調整手段4として機能し、一対の勾配キー41,42が溝24の長手方向に移動するので、開口幅の調整量を大きくかつ高精度に設定することができる。また、開口幅の調整量を大きくかつ高精度に設定しても、塗布ノズル1が大型化するといった不具合を防止することができる。
【0033】
[塗布装置の一実施形態]
本発明は、塗布装置の発明としても有効であり、本実施形態の塗布装置は、上記塗布ノズル1備えた構成としてある。
このようにすると、塗布口12の開口幅の調整量を大きくすることができ、かつ、開口幅を高精度に調整することができる。したがって、塗布口12が長い場合であっても、塗布口12の開口幅を高精度に、かつ、効率よく調整することができる。
【0034】
以上、本発明の塗布ノズル及び塗布装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る塗布ノズル及び塗布装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、塗布ノズル1は、各ノズル部材2,3の両方に、溝24を形成し、両方の溝24に調整手段4を配設した構成としてあるが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、一方のノズル部材2にだけ、溝24を形成して、調整手段4を配設する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上説明したように、本発明の塗布ノズル及び塗布装置は、カラーレジストを塗布する場合に限定されるものではなく、様々な塗布液に対しても、有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの要部の概略図であり、(a)は正面図を、(b)は下面図を、(c)は右側面図を示している。
【図2】図2は、それぞれ本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの要部の概略正面拡大図を示している。
【図3】図3は、それぞれ本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの要部の概略下面拡大図を示している。
【図4】図4は、それぞれ本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの要部の概略右側面拡大図を示している。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの、勾配キーの概略拡大図であり、(a)は正面図を、(b)は平面図を示している。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの、偏心ショルダーピンの概略拡大図であり、(a)は平面図を、(b)は正面図を示している。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる塗布ノズルの、塗布口の開口幅の調整手順を説明するための概略拡大図であり、(a)は調整前の下面図を、(b)は調整後の下面図を示している。
【符号の説明】
【0037】
1 塗布ノズル
2 正面側ノズル部材
3 背面側ノズル部材
4 調整手段
11 供給管
12 塗布口
20 塗布流路
21 供給孔
22 液溜り
23 塗布流路面
24 溝
25 先端部
26 嵌入穴
27 雌ねじ
28 ボルト
41,42 勾配キー
43,44 偏心ショルダーピン
45 ボルト
411 テーパ面
412 被押圧面
413 押圧面
431 嵌入部
432 ボルト孔
433 押圧部
434 収納穴
435 係止溝
【出願人】 【識別番号】506415056
【氏名又は名称】株式会社旭ブレイン
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平

【公開番号】 特開2008-29918(P2008-29918A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006-203289(P2006-203289)

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